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大規模修繕にいくら必要?オーナーが今から備える資金計画の考え方

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ビルやマンションを長く所有していくうえで、避けて通れないのが「大規模修繕」です。

外壁、防水、屋上、給排水設備、空調設備、電気設備など、建物には時間の経過とともに少しずつ劣化していく部分があります。小さな修繕で対応できるうちは大きな負担にならなくても、ある時期にまとまった工事が必要になることがあります。

そこで重要になるのが、大規模修繕を見据えた資金計画です。

「工事が必要になってから資金を用意すればいい」と考えていると、想定以上の費用が発生したときに、オーナー様の負担が大きくなってしまう可能性があります。

今回は、将来の大規模修繕に備えるために、どのような考え方で資金を準備していけばよいのかを解説します。

大規模修繕は「いつか必要になる支出」と考える

まず大切なのは、大規模修繕を突発的な出費ではなく、将来発生することがある程度予測できる支出として考えることです。

建物は新築時が最もきれいな状態ですが、築年数が経過するにつれて外壁や屋上、設備などの劣化が進みます。

例えば、

・外壁のひび割れやタイルの劣化
・屋上やバルコニーの防水劣化
・給排水管の劣化
・空調設備の老朽化
・受変電設備など電気設備の更新
・照明設備の更新
・消防設備の修繕・更新

など、さまざまな工事が必要になる可能性があります。

もちろん、すべての建物が同じタイミングで工事をするわけではありません。建物の構造、築年数、使用状況、過去の修繕履歴、設備の種類などによって必要な工事は変わります。

だからこそ、まずは「自分の所有する建物では、今後どのような工事が必要になりそうなのか」を把握することが資金計画の第一歩です。

まず確認したいのは「過去に何を修繕したか」

将来の資金計画を考えるとき、意外と重要なのが過去の修繕履歴です。

例えば、築20年のビルでも、5年前に屋上防水工事を実施している建物と、一度も大きな修繕をしていない建物では、今後必要になる工事が変わってきます。

過去の工事について、

・いつ工事をしたのか
・どこを修繕したのか
・いくらかかったのか
・次回はいつ頃必要になりそうか
・保証期間は残っているか

などを整理しておきましょう。

工事の請求書や見積書、報告書、保証書なども一緒に保管しておくと、次回の修繕計画を立てる際に役立ちます。

管理会社に建物管理を委託している場合は、これまでの修繕履歴をまとめてもらうのもよいでしょう。

「修繕時期」と「必要資金」をセットで考える

資金計画では、「いくら必要か」だけを見るのではなく、いつ必要になる可能性があるのかまで考えることが大切です。

例えば、今後10年間で、

1年目:消防設備関連の更新
3年目:空調設備の更新
5年目:屋上防水工事
7年目:給排水設備の修繕
10年目:外壁修繕

といった具合に、将来的な工事を時系列で整理します。

実際の工事時期や費用は建物によって異なりますが、こうした「将来の工事予定表」を作るだけでも、資金準備の考え方が大きく変わります。

「5年後に大きな工事が必要になるかもしれない」と分かっていれば、それまでに資金を準備することができます。

反対に、工事の直前になって初めて費用を知ると、資金繰りが難しくなる可能性があります。

修繕費は「毎年少しずつ準備する」という考え方

大規模修繕の費用は、工事内容によっては非常に大きな金額になることがあります。

そのため、工事が必要になったときに一度に全額を用意するのではなく、将来必要になる修繕費を見据えて、毎年少しずつ資金を確保するという考え方が重要です。

例えば、将来的に1,000万円規模の修繕が必要になる可能性があり、10年程度の準備期間を考えるのであれば、単純計算では年間100万円を準備するという考え方ができます。

もちろん、実際には賃料収入、既存の修繕積立金、他の支出、税金、空室状況なども考慮する必要があります。

重要なのは「年間いくらなら無理なく準備できるか」を考えながら、長期的な資金計画を立てることです。

工事費は「現在の金額」のままとは限らない

将来の大規模修繕を考える際に注意したいのが、現在の見積金額をそのまま将来の予算として考えないことです。

建築資材、人件費、運搬費など、工事にかかる費用は変動する可能性があります。

例えば、現在1,000万円と見積もられている工事でも、数年後に同じ金額で実施できるとは限りません。

そのため、資金計画を作る際には、ある程度の余裕を持たせておくことが大切です。

「工事費1,000万円だから、1,000万円だけ用意しておけばいい」と考えるのではなく、予算に余裕を持たせることで、将来的な費用変動にも対応しやすくなります。

大規模修繕だけでなく「突発修繕」も考える

資金計画を立てるとき、大規模修繕だけに目を向けてしまうのは危険です。

建物を所有していると、計画していた工事以外にも突然の修繕が発生することがあります。

例えば、

・エレベーターの故障
・給水設備の故障
・空調設備の故障
・漏水
・電気設備のトラブル
・シャッターや自動ドアの故障

などです。

大規模修繕用の資金をすべて使ってしまうと、突発的な修繕が発生した際に対応できなくなる可能性があります。

そのため、資金計画では「計画修繕用の資金」と「予期せぬ修繕に備える余裕」の両方を考えておくことが重要です。

建物ごとに「修繕の優先順位」を決める

すべての修繕を同時に実施できれば理想的ですが、実際には予算の制約があります。

そこで重要になるのが、修繕の優先順位です。

例えば、建物の安全性に関わる部分、漏水につながる部分、設備停止によってテナントや入居者に大きな影響が出る部分などは、優先順位を高く設定する必要があります。

一方で、見た目を改善する工事などは、建物の状態や予算を見ながら時期を調整できる場合があります。

「すべてを一度に直す」のではなく、建物にとって何が重要なのかを考えながら工事を分散させることで、資金負担を平準化できる可能性があります。

管理会社からの提案を「費用」だけで判断しない

修繕工事の提案を受けた際、「金額が高いから後回しにしよう」と考えてしまうことがあります。

もちろん費用は重要ですが、金額だけで判断するのはおすすめできません。

例えば、今すぐ修繕しなかったことで劣化が進み、将来的により大きな工事が必要になるケースもあります。

反対に、まだ十分に使用できる設備を早く交換してしまうと、不要な支出になる可能性もあります。

そのため、

「今すぐ必要なのか」
「数年後でも問題ないのか」
「放置すると費用が増える可能性があるのか」
「修繕と交換のどちらが適しているのか」

といった視点から判断することが重要です。

管理会社や専門業者から説明を受ける際も、単に「工事をしてください」と言われるだけではなく、工事の必要性や緊急度、将来的なリスクまで確認するとよいでしょう。

資金計画は毎年見直す

一度作った資金計画を、そのまま何年も使い続けるのも避けたいところです。

建物の状態は変化しますし、工事費も変わります。また、テナントの入退去や賃料収入、設備の故障などによって資金状況も変化します。

そのため、少なくとも年に一度は、

・修繕履歴
・建物の劣化状況
・今後の修繕予定
・修繕費の見込み
・現在の手元資金
・年間の収支
・設備の更新状況

などを確認しましょう。

「去年作った計画だから大丈夫」ではなく、現在の建物の状態に合わせて更新していくことが大切です。

大規模修繕は「工事」ではなく「経営計画」の一部

大規模修繕というと、工事そのものに目が向きがちです。

しかし、オーナー様にとって本当に重要なのは、工事を無理なく実施できる状態をつくっておくことです。

建物を長く使い続けるためには、修繕が必要です。そして修繕を適切なタイミングで行うためには、資金の準備が必要です。

さらに、工事のために大きな支出をすると、キャッシュフローにも影響します。

だからこそ、建物管理・修繕計画・資金計画を別々に考えるのではなく、一つの経営計画として考えることが重要です。

「壊れてから直す」のではなく、「必要になる前に準備する」。

この考え方を持つだけでも、将来の大きな支出に対する不安を減らしやすくなります。

まとめ

大規模修繕は、建物を所有している限り避けて通れない重要なテーマです。

特に注意したいのは、工事が必要になってから資金を考えるのではなく、数年先を見据えて早めに準備しておくことです。

そのためには、

・過去の修繕履歴を整理する
・今後必要になりそうな工事を把握する
・修繕時期と必要資金をセットで考える
・毎年少しずつ資金を準備する
・工事費の変動を考えて余裕を持つ
・突発修繕にも備える
・修繕の優先順位を決める
・資金計画を毎年見直す

といった取り組みが大切です。

福岡市内のビルやマンションでも、築年数が経過した建物では、外壁、防水、設備などの修繕について考える機会が増えてきます。

大規模修繕は「いつか考えればいいもの」ではなく、早い段階から少しずつ準備しておくことで、オーナー様の負担を抑えながら計画的に進めやすくなります。

建物の状態と資金状況を定期的に確認し、将来の修繕に備えた計画を持っておくこと。それが、建物の資産価値を守り、長期的に安定したビル経営につなげるための大切なポイントです。


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